三原舞依選手の成長

フィギュアスケートの2016/2017シーズン、一番大きな変貌を遂げた選手と言えば、三原舞依選手ではないでしょうか。
それは今季の女子フィギュアスケート界が、大きな変換期を迎えたからだと思っています。

昨シーズン、三原舞依選手は初のジュニアグランプリファイナルへ出場、6位となった帰国後、若年性特発性関節炎(若年性リウマチ)のため、入院治療を余儀なくされます。

約半年にものぼる闘病生活の間は、もちろんスケートすることもできずに、病室のベッドで試合を見ることもあったそうです。
退院後は治療を続けながら競技に復帰し、現在も再発のリスクを背負いながらのも現役選手として活躍しているのです。

三原舞依選手は今シーズンからシニアに本格参戦しました。
初戦のネーベルホルン杯で優勝すると、初参戦のグランプリシリーズアメリカ大会で3位となり銅メダルを獲得、続く中国杯では4位となります。

三原舞依選手は、その後の全日本選手権では初の表彰台で3位となり、四大陸選手権と世界選手権への出場を獲得します。
難病を乗り越えスケートできる喜びを、何も失うもののないシニアの舞台でのびのびと楽しんでいるように見えました。

年が明けてシーズン後半、四大陸選手権でも三原舞依選手の勢いは衰えません。
ショートプログラム4位から、フリーではパーソナルベストで逆転、国際大会初優勝を飾ります。

この四大陸選手権では、日本のエース宮原知子選手が骨折による怪我で欠場しますが、この時点ではまだ世界選手権の出場は予定されていました。
しかしその後怪我の回復が思わしくなく、世界選手権への出場を断念することになります。

今季の世界選手権は、来季のオリンピック出場枠をかけた特別な大会でした。
日本女子は3人出場となっていたので、上位2人の合計順位で出場枠が決定します。

そこで絶対的な安定を誇っていたエースの宮原選手が欠場となり、一気に出場選手たちにオリンピック出場枠のプレッシャーがのしかかってきたのです。
三原舞依選手と同じく今季シニアデビューした樋口新葉選手、宮原選手の欠場により急遽出場となった本郷理華選手、この3人で世界選手権に臨むこととなったのです。

今季の実績や安定感などからも、三原舞依選手への注目度も上がってきました。
そしてこれまで感じたことのないプレッシャーの中、三原舞依選手はショートプログラムでジャンプをミスし15位と出遅れていまします。

試合後は涙を流しながらもインタビューに答え、フリーの抽選会ではコーチに寄り添われながらも、流れる涙を止めることができずにいました。

しかし、フリーでは見事にプレッシャーを跳ね除け、四大陸選手権でのパーソナルベストをさらに更新し4位、総合で5位となり、オリンピック出場2枠獲得に貢献しました。

今季最後の国別対抗戦では、ショート、フリープログラムともにノーミスの演技で、今季3度目のパーソナルベストを更新し、日本チーム優勝に大きく貢献することとなるのです。

今季、シニアに参戦したばかりの三原舞依選手が、シーズン後半には日本のエースとしてオリンピック枠獲得を託される選手にまで成長したのです。

シーズンを通じてこんなにも立場が大きく変わった選手もまれだと思います。
そしてその期待に見事に応えてくれたと思っています。

三原舞依選手はいつもインタビューで「スケート出来る事、家族や支えてくれる全ての人に感謝して、その喜びを忘れずに滑りたい」と語っています。
感謝を忘れない人はいざという時に強さを発揮できる人だと感じています。

今季は浅田真央さん、村上佳奈子さんの引退表明もあり、激動のシーズンとなりました。
来年の平昌オリンピック2枠をかけての戦いがはじまりますが、三原舞依選手ならきっと感謝の気持ちと共に夢を叶えてくれると信じています。